ファンド漂流記

PEファンドで働いてます。M&A、PMI、経営、マーケティングなど仕事の話から趣味まで色々と

日本電産の行うM&A後のバリューアップの仕方がわかる本

ファンドなんかで仕事していると、ファイナンスの視点でしか会社を見ておらず、事業を理解せずに買収し後でファイナンスだけでなんともいかず、事業が右肩下がりになっていき、バリューアップできずに売却してしまうパターンがそれなりに存在している。

 

私の会社なんかは、ファイナンスの視点は大事なのだけども、事業自体をどうバリューアップさせるかに視点がいっている会社ではあるので、買収してPMIしてからがむしろ本番で、その後の経営課題、事業課題を解決することで事業の根本を理解しながらバリューアップするスタイルでやってきている。

 

その分、経営や現場への介入もかなりやっていきますし、従業員と一緒に仕事をしていきます。

特に旧経営陣が抜ける形になったときは事業の細部まで理解しないとどこにリスクが隠れているかわからなくなり、どこからともなく事業が右肩下がりになることがあります。このようなことを避けるためにも、投資先へ行くメンバー編成が大事で、素早くリスクを見つけることが必要であり、早め早めの対応が肝になってきます。要はバケツに空いた穴を素早く見つけて塞ぐことですね。これが失敗すると修復は難易度を増していきます。

うちの会社でもそのようなことが起こります。大体の原因は投資先へのメンバー不足、能力不足の点で起こってしまいます。

 

そのような難しいことを、製造業の業界でM&Aをし続けていき、ほとんどの会社を赤字から黒字へと転換している日本電産は昔からとても気になっていて、どのようにV字回復を成し遂げているか少しでもヒントを得たいと思って読んでみました。 

 

日本電産流「V字回復経営」の教科書

日本電産流「V字回復経営」の教科書

 

著者は日本電産の経営企画室でM&Aを主導していた方で、日本電産M&Aを始めたことや前職の出来なかったことなども含めたエピソードもありながら、この本の価値は営業部門の体系化が主な内容になっている。

 

 ほとんどの会社では営業はカリスマ営業マンが感覚的に受注してきてその人が全体の売り上げを伸ばしていくことがほとんどだが、日本電産ではそのようなことを是としておらず、営業機能を定量化させて、どのような営業マンでも実績を出せるような形にして、全体的に実績をだしていくことのマネジメントをしていく手法をとっている。ここまでメソットを可視化して数字で語れる営業の本はほとんどなく、マーケティングとして営業を考えられている。その点でかなり価値のある本だと思った。またすぐに実践できる内容になっているのがすごい。

 

営業戦略がそのまま経営戦略に直結することが多いと思うので経営者は参考にすべき内容で特に実行を主導していく営業マネジャーは必読の内容だと思う。この本の実践することができれば成績は上がっていくはず。

どこまでやり切れる人がいるかですが。

 

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